11章「データ、舵を取れ!」

最近は、誰もが「データドリブン」な(少なくとも「データにもとづく」)プロダクトマネージャーになりたい、あるいは採用したいようです。お好きにどうぞ。プロダクトマネージャーにとって「データドリブン」とは「曖昧に定義された人間的な柔軟さに満ちたこの役割のなかで、真剣にデータビジネスをする方法を知っている」の便利な略語になります。そして、採用責任者にとっては「どんなミスも起こすな」の略語になります。何か問題でもありますか?

真剣に考えれば、ユーザーやプロダクト、マーケットのデータから学ぶものはたくさんあります。ゴールがどこに向かおうとしているかを見せてくれて、戦略がどうやってそこにたどり着くかを決めるのに役立つなら、データは今自分たちが実際に適切な道を歩んでいるのかどうかを知るのに役立ちます。もちろん、そのためには「適切な道」があなたのプロダクトとチームにとって何なのかを知っている必要があります。プロダクト関連のキャリアのなかで、必要だと思うデータへのアクセスができないときや、アクセスできるデータがあまりに多く、意思決定が不可能に思えるときもあります。これらの状況にうまく対処するには、何のデータが自分にとって重要なのか、なぜ重要なのか、どのような意思決定に役立つのか、といったことに対してしっかりした見解を持たなければいけません。

本章では、舵を手放すことなくデータを活用できるよう、ツールセットに依存しない大まかな方法を紹介します。

11.1 「データ」という禁句をめぐるトラブル

まずはデータという言葉を見ていきましょう。この言葉は、いろいろなことを表現するために使われます。理屈では、データとは定性的、あるいは定量的に客観的な情報を表現することです。実際には、情報から導かれる結論や、データのフィルタリングや構造化の表現もしくは可視化、あるいは「数字やグラフっぽい形式で表現されたもの」などを表すものとして ...

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