4章体験はゲームから生まれる

 

図4-1  

体験のデザインについて語るのは楽しいです。事実、素晴らしい体験を生み出すことがわたしたちの目標です。でも、体験に触れることはできませんし、直接操作することもできません。ゲームデザイナーが制御でき実際に触ることができるのは、ゲームのみです。ゲームは粘土のようなものです。ゲームデザイナーは粘土をこねて形を作り、驚くようなゲームプレイを生み出します。

では、ここでいうゲームとは、どんな種類のゲームでしょうか? 本書では、ボードゲームやカードゲーム、スポーツゲーム、子供が公園で遊ぶゲーム、パーティゲーム、ギャンブルゲーム、パズルゲーム、アーケードゲーム、電子ゲーム、コンピュータゲーム、デジタルゲーム、そしてその他にも、あなたが思いつくすべての種類のゲームを対象としています。この後紹介していきますが、同じデザインの法則をあらゆるゲームに適用できるからです。中身がどれだけ異なっていようとも、多種多様なゲームを、人はすべてまとめて1種類の存在として直感的に認識しているのです。少し不思議ですよね。

これらのゲームの、共通点は何でしょうか? 別の言い方をすると、「ゲーム」の定義とは何でしょうか?

4.1 定義について、わめく人々

定義の内容について話を進める前に、なぜ定義を見つけようとしているのかをはっきりさせておきたいと思います。「ゲーム」という言葉を使うときに、それが何を指しているのかわかるようにするためでしょうか? 違います。ゲームという言葉を使うとき、通常は、何を指しているかはお互いわかっています。人によって、ゲーム(または何らかの用語)の意味が、多少異なるのは事実です。でも、たいていの場合、ゲームがどんなものであるかはわかって話しています。時折、議論の最中に、あるものが「本当にゲームといえるのか?」といった論争になることがあります。議論の参加者は、ゲームとは何かという個人的な定義を明確にします。しかし、一度定義について明確になれば、議論は先に進んでいきます。ゲームの適切な定義や、本物のゲームと呼べるものと呼べないものについて、人によって考えが異なってもよいのです。人によって、「音楽」や「芸術」や「スポーツ」について、何が本物で何が本物ではないかという意見が異なるのと同じことです。 ...

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