18章ストーリーとゲーム構造は間接操作でうまく統合できる

 

図18-1  

オノ・ヨーコ作「Ceiling Painting」

図18-2 オノ・ヨーコ作「Ceiling Painting」

1966年の暮れ、ジョン・レノンはロンドンのインディカ・ギャラリーで開催された「Unfinished Paintings and Objects」†1という美術展に招かれました。彼は特に前衛芸術に興味があったわけではなく、オノ・ヨーコという女性アーティストの名前も聞いたことがありませんでした。しかし会場に足を踏み入れると、ある作品がジョンの目を引きました。部屋の中央に置かれた背の高い脚立です。脚立の上の天井には、真っ白の無地に見えるキャンバスが据え付けられています。脚立の上方、天井からぶら下がっているキャンバスの隣りには、鎖につながれた虫眼鏡がぶら下がっていました。ジョンはこの奇妙な組み合わせを不審そうに見つめました。この作品は見上げるだけでいいのか? キャンバスは真っ白の無地に見えるけれど……それならなぜ虫眼鏡があるのか? ジョンは勇気を振り絞って不安定な脚立を登り、最上段でバランスをとりながら虫眼鏡を手に取りキャンバスをのぞき込みました。最初は本当に真っ白だと思い、「無」に関する芸術表現なのかなと考えました。しかし、何かが見えました。虫眼鏡がないと見えないほど、とても小さな文字でした。その言葉がジョンの人生を大きく変えました。 ...

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