ゲームデザインバイブル 第2版 ―おもしろさを飛躍的に向上させる113の「レンズ」

26章チームはドキュメント経由でコミュニケーションをとることもある

図26-1　　

26.1　ゲームデザインドキュメント（GDD） †1 に関する迷信

[†1] 訳注：ゲームデザインドキュメント——一般的に略してGDDと呼ばれる。日本の「仕様書」に近い。GDDに載せる内容や書き方については『「レベルアップ」のゲームデザイン』（オライリー・ジャパン刊）でも詳しく紹介されている。

多くの経験の浅いゲームデザイナーと夢想家たちは、ゲームデザインの作業フローについて不思議なイメージを持っています。彼らはイテレーションのルール（8章参照）に習熟していないため、1人の天才ゲームデザイナーがキーボードに向かって魔法のように完璧なGDDを作成するのがゲームデザインの手順だと誤解しています。そして完璧なGDDが完成したら、これを有能なプログラマーやアーティストのチームに渡すだけで、待っていればゲームデザイナーの輝くビジョンが実現化すると考えています。このようなゲームデザイナーの卵たちはイライラしながら「あとは……GDDの正しい書き方さえわかれば、プロのゲームデザイナーになれるのに！ アイデアはたくさんあるんだ。でも、魔法のテンプレートがないから、わたしはゲームデザインできない」と考えているのです。

これから、わたしはとても大切なことを言います。本当に大切なので、とても大きなフォントにします。よく聞いてください。

GDDに魔法のテンプレートなど存在しません！

　

かつて存在したこともありませんし、今後存在することも決してありません。もし誰かが「ある」と言っていたら、その人は愚か者か嘘つきです。万が一、仮にそんなものがあったとしても、役に立つかどうかはわかりません。ゲームデザイナーのJason ...