6章Power over Ethernet(PoE)

Power over Ethernet(以下、PoE)は、ツイストペアケーブルのイーサネットを介して直流電源を供給するオプションの標準規格である。PoEを用いれば、スイッチポートからケーブルの反対側にある、たとえば無線アクセスポイントなどの小電力なイーサネットデバイスを駆動させるのに必要な電力をイーサネットデータと共に供給できる。このシステムは、電力とイーサネットデータの両方を同一のケーブルに通過させてもデータに干渉を起こすことのないように注意深く設計されている。

PoEは無線アクセスポイント、IP電話、ビデオカメラ、モニタリング装置など、比較的少電力なデバイスをサポートしている。これにより、接続されたデバイスそれぞれに電力供給用の回路を用意しなくて済むので、コスト削減にも役立つ。供給される電力は、安全特別低電圧(SELV:Safety Extra Low Voltage)に分類されている。このクラスは、ピーク直流電圧が60 Vに制限され、電力供給が主電源(ACグリッド)に接続されておらず、変圧器または同等の絶縁デバイスを経由して電力が得られるような電力として定義されている。

言い換えれば、イーサネットケーブルを介して供給される電力で感電する危険性がないように、注意深く設計されているということだ。低電圧、ACグリッドからの電気的絶縁、そして制限された電流レベルなので電力は安全に供給され、しかも電力線の敷設や管理に電気技師を呼ぶ必要もない。

6.1 PoEの標準規格

PoEは最初、2003年に付録802.3afの枠組みの中で開発され、のちに802.3の第33条として標準規格となった†1。オリジナルの802.3afのPoEはイーサネットケーブルを介して直流電力15.4 ...

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