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1.7 事後分布から決断を下す

これまでさまざまなアプローチを用いて各デザイン案のクリック率\thetaの事後分布を推論してきました。ベイズ推論によって得られた知見はこの事後分布にすべて凝縮されており、眺めるだけでもさまざまな決断を下すのに役立ちます。

しかし、実際のアプリケーションではこの事後分布を何らかの方法で定量的に評価し、決断を下さなければならない場面もあるでしょう。このようなとき、この事後分布を可視化した結果から「アリスのデザインAとB案のクリック率の間には差がある」と結論づけてもいいのでしょうか?ベイズ推論で得られた事後分布の特徴を要約統計量として数値化したり、事後分布から得られるサンプルを活用したりすることで、このような疑問に対して定量的な評価を与えることができます。

1.7.1 要約統計量

まずは、確率分布の特徴を表す代表的な要約統計量を説明します。

1.7.1.1 期待値

期待値(expected value, mean)は、確率変数に確率の重みをかけて平均した値です。連続確率分布、離散確率分布の期待値はそれぞれ以下のように定義されます。ただし、ここでは確率変数xの確率密度関数および確率質量関数を、その期待値をと表しました。

期待値は確率変数そのものに確率密度もしくは確率質量 ...

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