1章TensorFlowの概要

人工知能(AI:Artificial Intelligence)の開発は、機械学習(ML:Machine Learning)とディープラーニングから始めるのが最適です。しかし、いざ始めてみると、選択肢の多さや新しい用語に圧倒されてしまいます。本書は、機械学習やディープラーニングの概念を実装するコードを作成し、コンピュータビジョンや自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)などのシナリオに沿って人間と同じように動作するモデルを構築することで、プログラマに向けてやさしく説明することを目的としています。こうした作業を通して、合成された知能、つまり人工知能は形作られます。

ところで、機械学習について言及するとき、それは実際のところ何を指しているのでしょうか。この章ではまず、機械学習についてプログラマの視点で簡単に学びます。その後でTensorFlow自体と、TensorFlowモデルを実装およびデバッグする環境のインストール方法を説明します。

1.1 機械学習とは

機械学習の詳細に入る前に、機械学習が従来のプログラミングからどのように進化したかを考えてみましょう。まず、従来のプログラミングとは何かを調べ、その限界について考えます。そして、その限界に対応するために機械学習がどのように進化してきたのか、その結果、新しいシナリオを実現するための新たなチャンスが生まれ、人工知能の考え方が花開くことになります。

従来のプログラミングでは、プログラミング言語で記述したルールをデータに適用して答えを導き出します。これは、プログラムとして記述できるものであれば、ほぼすべてに当てはまります。

例えば、よく知られた「ブロック崩し」のようなゲームで考えてみましょう。ボールの動きや得点、ゲームの勝敗に関わるさまざまな条件を決定します。 ...

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