6章不確実性
ベンジャミン・フランクリンは、“この世で確実なものは死と税金だけだ”と言ったことでよく引き合いに出される。私なら、当たり前のことを言っているだけだと言われても、“人生で確実なものは不確実性だけだ”と言いたいところだ。この章で見ていくように、私たちは単純化の方法を身につけなければならないだけでなく、不確実性がどこからやってくるのか、アクションの帰結がはっきりわからない中で意思決定するためにはどうすべきかを知るために最大限の努力をしなければならない(図6-1)。
この章でもっとも大切なのは、不確実性をともなう意思決定では、ビジネスインパクト(結果)の数学的期待値の最大化を追求することになるということを学ぶことだ。そのため、期待値の計算が苦にならないように、確率理論の素養をしっかりと身につけるところから始めなければならない。この章では、不確実性のもとでの意思決定についての理論の初歩にも踏み込む。そして、最後に私たちのユースケースにこのツールキットを応用する。
6.1 不確実性はどこからやってくるのか
不確実性は、私たちに知らないことがあることを反映している。科学では、不確実性や無作為性は、ある現象の原因についての知識がないことと結びつけられるのが普通だ。では、不確実性はどこからやってくるのだろうか。それについてはすでに「2章 分析的思考入門」で触れているので、その内容を要約しておこう。
多くの場合、不確実性の源は、私たちのアクションや私たちが観察する現象の原因または帰結について文字通り ...
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