7章最適化
今まで説明してきた作業をすべて終えると、ついに処方的段階に入る。つまり、可能な限り最良の意思決定を下せる準備が整ったということである。少なくともそれは私たちが目指してきたことだ。最初のうちは、個々の問題を理解しやすくするために単純化の前提を置く。この前提は複雑な問題を解くことがそれほど苦にならなくなってきたところで緩和できる。しかし、まず最適化理論の概念の概要をおさらいしておこう。そうしておくと役に立つはずだ。
7.1 最適化とは何か
最適化とは、あらかじめ定義された何らかの目的関数の最小値か最大値を見つけることである。目的関数は、みなさんが想像した通りのもので、レバーをビジネス目標に写像する数学関数である。私たちの目標はできる限り最良の意思決定を下すことなので、最適化理論の知識があれば役に立つのは当然と言ってもよいだろう。
最適化しようとしている問題が比較的簡単な場合がある。2つの数値(たとえば5と7)から大きいほうを見つけるという問題について考えてみよう。7のほうが大きいことは瞬間的にわかり、対応するレバーがあれば7につながっているレバーを引くだろう。2つのうちのどちらかを選ぶ意思決定では、最適化段階でしなければならないのはこれだけだ。
有限の多数の数値がある場合でも、それらをソートすれば最大値でも最小値でもすぐに見つかる。少し時間がかかり、手作業ではしないかもしれないが、計算効率のよいソートアルゴリズムがある。しかし、“有限”ではあっても非常に多くの数値のリストをソートしようとすると計算コストが高くなる場合があるので、もっと計算効率のよい方法がほしくなる場合があることに注意しよう。 ...
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