11章ソーシャルメディアとアルゴリズミックバイアス
「第Ⅱ部 アルゴリズミックバイアスの原因と発生の経緯」の最終章であるこの章では、少し趣向を変えてSNSなどのソーシャルメディアに対象を絞り、前の章までで見てきた事柄が、ソーシャルメディアにおいてどのように具現化するかを示します。
SNSでは、ユーザーに向けて他のユーザーの投稿やニュース記事が表示されますが、投稿や記事を選択し、表示の順番やレイアウトを決めているのはアルゴリズムです。その他のソーシャルメディアにおいても、アルゴリズムが同じような役割を演じています。したがって、このアルゴリズムにバイアスがかかっていれば、ユーザーが違和感、不快感を抱くほど著しい歪曲を招いてしまうことがあるのです。
また、ソーシャルメディアにおけるアルゴリズミックバイアスは固定的なものではなく、アルゴリズムとユーザーとの相互作用によって、場合によっては時間の経過とともに悪化してしまいます。
この章の目的は、次の2点を具体例を介して説明することです。
- 各種のアルゴリズミックバイアスが相互に作用、増強し合うものであること
- アルゴリズミックバイアスが固定的なものではなく、動的に変化するものであること
説明は次の手順で進めます。
- アルゴリズムがソーシャルメディアにおいて投稿や記事の「フロー」をどう形成しているのか、また、そのフローにアルゴリズミックバイアスがどう影響するのかを説明します
- ユーザーが投稿や記事を選択する際、ユーザー自身の「アクション志向バイアス」にどう影響されるのか、そしてそれがアルゴリズムによる投稿や記事の選択にどう影響するのかを説明します
- 上記1.および2.の中から、ソーシャルメディアでのアルゴリズミックバイアス対策に直接関連する部分をピックアップし、それが示唆することを紹介し、アルゴリズミックバイアスの排除法に触れます(より詳しくは ...
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