マスタリング・イーサリアム ―スマートコントラクトとDAppの構築

12章非中央集権型アプリケーション（DApp）

　この章では、非中央集権型アプリケーション（decentralized application）、DAppの世界を詳しく見ていきます。イーサリアムの草創期から、創設者たちのビジョンは、単なる「スマートコントラクト」の枠には収まらないものでした。それはWebの再発明以上のものであり、「Web3」と命名するにふさわしい、DAppによる新しい世界の創造です。スマートコントラクトは、アプリケーションの制御ロジックと支払い機能を分散化させる手段です。そしてWeb3 DAppは、アプリケーションのすべての側面（ストレージ、メッセージング、ネーミングなど）を分散化していきます（図12-1）。

図12-1　Web3：スマートコントラクトとP2Pテクノロジーを使用した非中央集権型Web

	「非中央集権型アプリケーション」は大胆な未来のビジョンですが、「DApp」という用語は、フロントエンドWebアプリケーションを伴ったスマートコントラクトを指す言葉としてよく使われます。これらのいわゆるDAppの中には、極めて中央集権的な（centra­lized）アプリケーション（CApp？）もあります。このような偽のDAppには用心しましょう。

　この章では、サンプルDAppとしてオークションプラットフォームを開発します。ソースコードは、書籍のリポジトリ ...