5章devopsに対する誤解とアンチパターン

devopsのような概念について議論するときは、それが何ではないかを議論しておくことも有用だ。そうすることで、devopsに対するよくある誤解や間違った思い込みを晴らすのに役立つ。本章では、devopsを取り巻く状況について説明し、よく見られるアンチパターンの例を示す。

5.1 devopsに対するよくある誤解

業界内には、devopsに対するよくある誤解が蔓延している。組織のなかで、devopsの考えと価値観を明確にしようとチームが苦しんでいるかもしれない。この節では、組織内でdevopsを共通語にしようとしたときにぶつかる問題をいくつか検討していく。

5.1.1 devopsに関係があるのは開発者とシステム管理者だけだ

devopsという言葉はdevelopment(またはdeveloper)とoperationsの合成語だが、これは厳密な定義というわけではない。devops運動がそこから始まったというだけのことだ。DevOpsDaysカンファレンスのキャッチフレーズは「開発と運用をひとつにするカンファレンス」だ。だが、devopsの概念とアイデアには、組織内のすべての職能が含まれている。devopsに参加する個人やチームをどのように決めどう巻き込めばよいか、決定版のやり方はない。誰もが使える「devopsをやる」方法はないのだ。

開発チームと運用チームがコミュニケーションを改善し効率よく共同作業するというアイデアは、企業のどこでも役立てられる。最も効果的にdevopsを活用するには、組織内のすべてのチームを考慮に入れる必要がある。セキュリティ、品質保証、サポート、法務などすべてだ。たとえば、法務と営業で効果的なdevopsプロセスができたとしたら、矛盾のない販売カタログから契約書を自動生成できるようになるだろう。 ...

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