15章スケーリング: 誤解と問題解決
本章では、よく直面するスケーリングの難問について検討し、その解決方法を考えていく。ここでは、管理職と一般社員の両方に関係のある分野を取り扱う。自分の現在の職務に直接適用できるものが見つかるかもしれないが、それだけでなく、他の職務の人たちが直面する難問についても読んで理解しておくと貴重な知見が得られるはずだ。
15.1 スケーリングの誤解
前の章でも説明したように、大企業のまま変わることなく、何か別の「エンタープライズdevops」なるものに取り組むだけではスケーリングの問題は解決しない。
15.1.1 一部のチームは共同作業できない
devopsの起源は、仲の悪い開発者のチームと運用のチームを使って説明される。チームとチームは誤解の蓄積によって緊張関係が生まれ対立する状態になる。第Ⅱ部で説明したように、誤解は一概に悪いものではない。健全な組織であることを示す重要なサインでもある。チームが相互に対立しないようにすることはとても重要だ。個人間の対立なら一対一で理解を修復できる。だが、チーム間の対立を解消するには、それよりもはるかに複雑なプロセスが必要になる。チーム間の絆を修復することは大切だが、そのような対立を招いたプロセスも修復しなければいけない。
チームが互いにどのように付き合ったらよいかを学び直す関係修復の初期段階は、とても困難でぎごちない。チーム間の信頼を再構築するには時間がかかるし、プラスの経験の蓄積が必要だ。ひとつのマイナスの経験によって、積み上げたものがすべてぶち壊しになることもある。
注意しなければいけない行動パターンは次のとおりだ。
- 批判
- 性格的な特徴に対する個人攻撃
- 蔑視
- 相対的に上の立場からの言葉や行動
- 防衛反応
- 自己防衛的な言葉や行動 ...
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