30章ゲームデザイナーはクライアントにプレゼンテーションを行う
図30-1
30.1 なぜゲームデザイナーが行うのか?
ゲームの出資や販売、配布を誰かにお願いする場合は、そのゲームにはリスクに見合う価値があると説得しなければいけません。そこで、プレゼンテーションの出番です。「なぜわたしがプレゼンテーションをしなければいけないのか? ゲームデザイナーはゲームデザインをしているだけでよいんじゃないの? 他にやってくれる人はいないのか?」と思う人もいるでしょう。しかし、実際のところ、プレゼンテーションに最も適しているのは誰だと思いますか? アーティスト? プログラマー? 経営陣? ゲームデザイナーのあなたこそ、ゲームを知っている人間です。だからこそ、プレゼンテーション担当として、あなたほど最適な人はいません。万が一、あなた自身がゲームに対して自信を持てず、人前で絶賛できないようなゲームだったら、他の人があなたのゲームをよいと思ってくれるわけがありませんよね?
では、誰に対して、いつプレゼンテーションを行うのでしょうか? 答えは、状況によって大きく異なります。副業としてゲーム開発をしているインディーズゲーム開発者と、大企業の正社員として働いている開発者では、プレゼンテーションの要件は違います。しかし、どちらの場合でも、ゲームを成功させるためには何度もプレゼンテーションを行う必要があります。初期段階では、大まかなアイデアをチームメンバーや仲間になってくれそうな人々に対してプレゼンテーションします。全体的なコンセプトについてチームが合意できたら、経営陣や出資者に対してプレゼンテーションを行い、プロトタイプを作成する承認を得ます。プロトタイプが完成したら、パブリッシャーやKickstarterなどに対してゲームのプレゼンテーションを行い、開発資金を調達します。そして開発中にゲームを大きく変更する必要が出てきたら、ほぼ全員の関係者に対して変更内容をプレゼンテーションすることになります。開発が終わったら、ゲーム関連のイベントでメディア向けにプレゼンテーションを行うことになります。プレゼンテーションは「わたしが新しいAAAゲームのアイデアに75億円必要な理由はこうです」のように大規模なものから、「ボブ、宇宙船の角をもっと丸めなければならない理由はこうです」のように小さなものまで、さまざまです。ゲーム開発をするなら、自分のアイデアについて人々を説得する必要に何度も迫られます。そして、さまざまな思想や経歴を持つ人々を1つのアイデアに向かって団結し続けてもらうために説得する立場にいます。最も厳しいプレッシャーを感じるプレゼンテーションは、ゲーム開発資金を得るときです。ですから、本章でも、この種のプレゼンテーションに重点を置きます。 ...