8章合意形成によるサービス連携
分散サービスは業務用厨房のようなものです。コンロが一つ、料理人が1人の小さなレストランがオープンしたとします。お客さんがこのレストランを知り、友達に教えてくれて、商売は大繁盛します。しかし、厨房は客の多さに苦戦し、時には、コンロが壊れて夜の閉店を余儀なくされ、ビジネスに支障をきたします。そこで、レストランは料理人を2人増員し、コンロも2台購入します。これで、料理人は注文を処理できますが、間違いを犯してしまいます。前菜とメインディッシュを間違えたり、テーブルを間違えたり、一つの注文を倍にして別の注文を忘れたりします。つまり、協調性に欠けています。そこで、厨房を統括するシェフを雇います。注文が入ると、シェフは注文を分けて、前菜、メイン、デザートをそれぞれの料理人に割り当て、料理人は速やかに正確に料理を作ります。迅速で質の高いサービスがお客さんに支持され、そのレストランは世界的に有名になっていきます。
この章では、分散サービスのシェフである合意形成(consensus)を取り上げます。合意形成アルゴリズムは、分散サービスが障害に直面しようとも、共有状態に合意するために使われるツールです。「7.4 発見されたサービスにリクエストし、ログをレプリケーションする」では、サービスにレプリケーションを素朴に実装していましたが、サーバは同じデータを無限にコピーする循環に陥って、互いを複製していました。サーバをリーダーとフォロワーの関係にして、フォロワーがリーダーのデータを複製するようにする必要があります。この章では、リーダー選出とレプリケーションにRaftを使って、それを行います。
8.1 Raftとその仕組み
Raftは分散合意形成アルゴリズムであり、理解しやすく、実装しやすいように設計されています。これは、Kubernetes、Consul、そして将来的にはKafkaが使う、分散キー・バリュー・ストアであるEtcdのようなサービスを支える合意形成アルゴリズムです。KafkaのチームはZooKeeperからRaftに移行中です ...
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