ヘルシープログラマ ―プログラミングを楽しく続けるための健康Hack

7章手首痛への対策

どれほどの痛みであっても、Ethan Kindの情熱を遮ることはできませんでした。彼は、ロンドンの王立音楽大学でクラシックギターを学んでおり、コンサート奏者としてのキャリアを目指していました。毎日数時間もの練習は身体の負担になっていましたが、夢を追う多くの若者たちと同じく、彼も痛みをこらえて練習を続けました。最終的に、彼は手根管症候群（carpal tunnel syndrolme = CTS）と診断されましたが、それでも練習は止めませんでした。

「僕は痛みを無視して練習し続けたんだ」Ethanは言います。「どんどん練習を厳しくしていって、3年生の時に壊れて燃え尽きてしまった」。

重大な怪我のために、Ethanは王立音楽大学を去って、アメリカの家に帰らざるを得なくなりました。「アメリカに帰ってから治療を始めて、そしてもう音楽家としてのキャリアに戻ることはなかったよ」と彼は話してくれました。

現在、Ethanは教師になっています。彼は、自分の演奏家としてのキャリアを最終的に終わらせたのと同じような痛みを抱えている学生や演奏家たちと働いています。ただし今では、彼らが自分と同じような燃え尽き方をしないようにするためにはどうしたらいいか、Ethanには分かっています。

王立音楽大学を去る前に、Ethanはアレクサンダーテクニークと呼ばれる教育過程を紹介されました。これは、動き方や、姿勢の保持の方法を変えることで、身体の緊張をなくすことを目的としたものです。この手法は、音楽家、舞台俳優、歌手やその他の芸術家の間で広く知られています。現在、Ethan Kindは認定を受けたプロフェッショナルのアレクサンダーテクニークのインストラクターであり、この方法論をコンピュータのユーザーにまで応用したのです。 ...