23章永続性記憶

あなたのアプリが実行されるデバイスには、ハードディスクと等価な機能を果たすフラッシュメモリが搭載されており、デバイスの電源を切ってもそのまま残る(永続性記憶)ファイルを保持しています。アプリはこの仮想的なハードディスクにファイルを保存したり、取り出したりできます。アプリはさらに、それが専用に扱うドキュメントタイプを定義でき、そうしたドキュメントを相互間で受け渡しできます。iOS 5からはアプリはドキュメントをクラウド(iCloud)に上げて共有することが可能になり、それらを同じアプリの別々の実体で別々のデバイス上に取り出すこともできます。最後にこの章では、重要な数種のファイル形式を取り扱う例を示して締めくくります。

23.1 サンドボックス

個々のアプリに対して、ハードディスクの全体が解放されているわけではありません。ハードディスクのうちの限定された一部分が各アプリに専用の領域として与えられます。これがアプリのサンドボックスです。つまり、どのアプリにもそれ自身のサンドボックスだけが見え、他のアプリのファイルを覗き見たり侵したりはできないようになっています。アプリはシステムが所有している上層のディレクトリ全体を見ることもできますが、そこに書き込むことはできません。

サンドボックスの中にはいくつかの標準ディレクトリがあります。たとえば、ディレクトリDocumentsへの参照を取得したいとしましょう。そこにアクセスする方法のひとつを示します。

NSString* docs = [NSSearchPathForDirectoriesInDomains( NSDocumentDirectory, NSUserDomainMask, YES) lastObject];  ...

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