ハンズオンJavaScript

まえがき

「何も作らない人は、何ができるかではなく何を好むかで判断する。だけど好みは次第に視野を狭くし、いつか周りに誰もいなくなる。だから作ろう」

プログラミング学習の目的や恩恵についてはいろいろな意見がありますが、私はこのWhy The Lucky Stiffの言葉こそが真実だと考えています。

世界を好みのものと好みではないものに分けて、後者を切り捨てるやり方しか知らなければあなたを取り巻く世界は必然的に小さくなるばかりです。しかし創造的な視点を得れば世界が変わります。創造性とは目に映るものに自分なりの意味や価値を見出そうとする姿勢であり、創造とは意味や価値を与える行為です。つまり何かを作ることは自分の世界を広げることなのです。

しかし好き嫌いは誰にでもあります。つまりあなたの世界は常に小さくなろうとしています。それに抗うには学び続け、作り続けるしかありません。もちろんその手段はプログラミングに限りません。しかし、プログラミングは工学であり科学でありアートです。1人でも制作が可能で試行錯誤も容易、応用範囲も多岐にわたります。縮む世界に対抗する手段としてこれほど優秀なものはないでしょう。

本書は世界を広げたい人のためのプログラミング入門書です。入門書というと文字と行間が大きくポンチ絵の多い、悪く言えば読者を子供扱いした本という印象があるかもしれません。しかし本書は皆さんの知性を信頼しています。ある著名な忍者は「楽な道のりではなく険しい道の歩き方を知りたい」と言いました。本書は読者に自分自身で学び続ける土台を提供することを目的とした「大人が読めるプログラミング入門書」を目指します。

本書のコンセプト

本書ではChromeブラウザの開発者ツールである、Chrome DevToolsのコンソールにプログラムを入力してその応答を確認しながら、JavaScriptの基礎から応用までひとつひとつをハンズオン形式で学びます。各章末には練習問題があり、理解度を確認しながら読み進めることができます。 ...