ハンズオンJavaScript

20章学び続けるために

これまで多くの仕様やAPIを紹介してきましたが、それでもすべてを紹介できたわけではありません。また、JavaScriptを含めWebに関する技術は変化が早く意識的にアップデートを心がけていないと知識はあっという間に陳腐化します。

幸い、Webに関する技術はほぼすべてオープンな場で議論がなされ、合意によってその標準化が進められます。本書を読んでいる皆さんも議論に参加し、新しい仕様を提案することさえできるのです。そこまで行かずとも、標準化のプロセスを理解していれば、現在どのような仕様が議論されているかが把握でき、実際に利用可能になる時期もある程度予想がつくようになります。

本章ではこれまでに説明した内容を超えてさらに学びを進めるための情報を紹介します。

20.1　ECMAScript

本書の「2章 データを学ぶ」から「11章 メタプログラミングを学ぶ」にかけてはJavaScriptの言語仕様と標準オブジェクトについて説明しました。JavaScriptの仕様上の正式名称はECMAScriptで、情報通信システムの標準化団体であるEcma Internationalによって標準化されています。仕様は毎年6月に更新され最新版は以下で確認できます。

https://www.ecma-international.org/publications/standards/Ecma-262.htm

ECMAScriptの文法や標準オブジェクトの標準化を担当するのはTC39という技術委員会（Technical Committee）です。とはいえ、TC39のメンバーでなければ標準化に関われないわけではありません。もちろん最終的に標準とするかどうかを決定するのはメンバーですが、仕様を提案する権利も、提案された仕様について意見する権利もあらゆる人に対して開かれています。議論は主にメーリングリストでなされ、その履歴は次のサイトでも確認できます。 ...