2章スコアのつけ方

アナリティクスとは、ビジネスにおいて重要な指標を追跡することである。こうした指標が重要なのは、ビジネスモデルに関係するからだ。つまり、お金をどこから得るのか、コストがどれだけかかるのか、顧客がどれだけいるのか、顧客獲得戦略がどれだけ有効なのかと結び付いている。

スタートアップでは、どの指標が重要なのかは必ずしもわからない。どのビジネスに参入するかをまだ把握していないからだ。分析の対象となる活動も頻繁に変更されるだろう。正しい製品や顧客対象を探そうとしているのである。スタートアップにおけるアナリティクスの目的は、資金が尽きる前に正しい製品と市場にたどり着くことだ。

2.1 優れた指標とは何か?

優れた指標とは、期待する変化を促す数値である。それにはいくつかの目安がある。

優れた指標は比較ができる
指標を時間軸・ユーザーグループ・競合他社などで比較できれば、自分がどの方向に進んでいるかがわかる。たとえば、コンバージョン率が「2%」よりも「先週よりも増えた」のほうが意味がある。
優れた指標はわかりやすい
指標が覚えにくかったり、議論が大変だったりすると、数値の変化を文化に取り入れるのが難しくなる。
優れた指標は比率や割合である
会計士や金融アナリストは、企業の財政状況を複数の比率から判断する†1。あなたにも同じものが必要だ。

比率を使ったほうが優れた指標になるのは、以下の理由があるからだ。

比率は行動しやすい
車の運転を考えてみよう。走行距離も情報のひとつだが、運転しているときに見るのは時速(距離と時間の比率)である。現在の状況を表しているし、時間どおりに目的地に着くには、速度を上げればいいのか、それとも下げればいいのかを判断できるからだ。
比率は比較できる

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