6章最重要指標の規律

創業者は何でも集めたがる。新しいものを目にしたら追いかけたくなる。彼らにとってピボットとは、アイデアを規則正しいやり方で反復するために使うものではなく、慢性的なADD(注意欠陥障害)になるために使うものなのだ。

スタートアップの成功の鍵は、本当の意味でフォーカスすること、それを持続させるための規律を持つことだ。フォーカスしていないのに成功したとすれば、それは単なる偶然にすぎない。あてもなくさまよい、膨大な時間をムダにして、苦痛や徒労を経験した末の成功だ。スタートアップの成功に秘訣があるとすれば、それは「フォーカス」である。

フォーカスは近視眼的なものではない。ぼくたちは、アイデアを思いついたときから会社を売却するまで、たったひとつの指標に注目すべきだとは言っていない。常に「最も重要な指標」が存在すると言っているのである。リーンスタートアップの本質とは、正しいことに、正しいときに、正しい考え方でフォーカスすることに他ならない。

5章で述べたように、エリック・リースは会社を成長させる3つのエンジン(定着型成長エンジン・バイラル型成長エンジン・課金型成長エンジン)を紹介している。企業を成功させるには、最終的に3つすべてのエンジンを使用することになる。だが、一度にひとつのエンジンにフォーカスすべきだと彼は忠告している。たとえば、最初は製品のコアユーザーに定着してもらい、それを利用してバイラルで成長させ、最後に顧客に課金して収益を得る。これがフォーカスだ。

アナリティクスとデータの世界では、ステップごとに重要な指標をひとつだけ選んでフォーカスする。ぼくたちはこれを「最重要指標(OMTM)」と呼んでいる。

OMTMとは、現在のステージでフォーカスする単一の数値のことだ。たとえば、CLV(顧客ライフタイムバリュー)を考えてみよう。課題を検証するときに計測しても意味はないが、製品/市場フィットに近づくときにはフォーカスすべき指標となる。 ...

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