21章もう十分なのか?

『Lean Analytics』で解き明かしたい最大の疑問は「何が正常なのか?」である。「追跡している指標の正常値や理想値をどうすれば求められるのか?」「うまくいっているのか、そうじゃないかはどうすればわかるのか?」「指標を継続して最適化すべきなのか、それとも他の指標に移るべきなのか?」いつも聞かれるのはこうした質問だ。

最初の頃は、多くの人から「指標の典型的な値を探すのはやめたほうがいい」と言われたものである。スタートアップとはルールを破るものであり、常にルールを書き換えるのである。だが、ぼくたちは2つの理由から「正常」の定義が重要だと考えている。

1つめは、想定の範囲内かどうかを知る必要があるからだ。現在の振る舞いが他人とかけ離れたものならば、そのことに気づくべきである。逆にうまくいっていれば、先へ進むべきだ。主要指標が最適化されていれば、さらに改善しても収穫逓減になる。

2つめは、プレイしているスポーツの種類を知る必要があるからだ。オンラインの指標は流動的であり、現実的な基準値を見つけるのが難しい。たとえば、数年前の典型的なECサイトのコンバージョン率は1~3%だったが、上位のサイトは7~15%を獲得していた。オフラインでマインドシェアを獲得し、「デフォルト」の購入ツールとなるべく懸命に取り組んでいたからである。だが、近年ではこうした数値が変化している。ウェブそのものが「デフォルト」の購入先となったからだ。たとえば、ピザの宅配会社は極端に高いコンバージョン率を獲得している。それはつまり、みんながウェブでピザを注文しているからだ。

言い換えれば、ほとんどの指標には正常値や理想値がある。斬新なビジネスモデルであってもメインストリームになれば、その正常値は大きく変わる。 ...

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