29章エンタープライズ市場に売り込む

リーンアナリティクスはコンシューマー向けのビジネスにしか使えないのだろうか? そんなことはない。

もちろん実験はコンシューマーのほうが簡単だ。あちこちに存在するし、意思決定が非合理的なので、感情と戯れることができる。クラウドコンピューティングとソーシャルメディアの登場により、何かをローンチして評判を広めるのに大きな事前投資を必要としなくなった。コンシューマー向けのスタートアップはメディアの象徴となり、ハリウッドの映画にもなった†1。こうしたことに異論を挟む余地はないだろう。SaaSプロバイダーのようなB2Bのスタートアップでさえも、大企業以外をターゲットにしている。

だが、ビジネスにおけるデータ活用の手法は、あらゆる種類の組織に有効である。偉大な創業者たちの多くは、ビジネスの大きな課題を追い求めることでリッチになった。TechCrunchのレポーターであるアレックス・ウィリアムス《Alex Williams》は、このように言っている†2

「エンタープライズの分野はひどく退屈かもしれませんが、お金は最悪なところにあるものです」

エンタープライズにフォーカスしたスタートアップは、独特の挑戦をしていかなければいけない。それは、監視する指標やその収集方法さえも変えてしまうものである。だが、それをやる価値はある。

29.1 なぜエンタープライズの顧客は違うのか?

よいニュースから始めよう。エンタープライズのほうが話し相手を見つけやすい。電話帳に載っているからだ。コーヒーを飲む時間くらいは作ってくれるだろう。それに、予算も持っている。そういう人たちは、新しいソリューションを評価して、ベンダーと打ち合わせをして、会社のニーズを伝えて、うまく解決できるかを確認するのが、 ...

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