17章トラッキング

17.1 トラッキングの概念

動画を扱っていると、個別の静止画と違って、その視野の中に追跡したい物体や物体群があることがよくあります。前の章では、フレームごとに人や自動車など特定の形状を分離する方法を学びました。また、そのような物体をどのようにして特徴点の集まりとして表現できるかも勉強しましたし、これらのキーポイントが動画ストリーム内の異なる画像や異なるフレーム間でどのように関連づけられるのかも見ました。

実際には、コンピュータビジョンにおけるトラッキング(追跡)の一般的な問題は大きく分けて2つあります。すでに特定した物体を追跡しているか、それとも、未知の物体を追跡しているかです。後者では多くの場合、動きに基づいてその物体を識別しています。前に述べた手法(モーメント、色のヒストグラムなど)を使ってフレーム内の物体を識別できる状況も多いですが、興味の対象となる物体の存在や性質を推測するために、動きそのものを解析する必要があるのです。

前の章では、キーポイントや記述子を勉強しました。これらは、なオプティカルフローの基礎をなします。本章では、なオプティカルフローに適用できるいくつかの手法を紹介します。与えられた領域内のすべてのピクセルにオプティカルフローが適用される場合、オプティカルフローの結果は密であると言います。

トラッキングに加えて、モデリングの問題があります。モデリングは、トラッキング手法がベストの状態であっても、物体の実際の位置のフレームごとの観測値にはノイズが含まれるという問題を解決する手助けをしてくれます。このようなノイズを伴う方法で、観測される物体の軌道を見積もる強力な数学的な手法がたくさん開発されてきました。これらの手法は、物体の2次元または3次元モデルやそれらの位置に適用可能です。本章の後半では、OpenCVが提供する、このような問題の解決を手助けするツールを見ていき、それを支える理論のいくつかを説明します。 ...

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