付録C話は変わりまして:非同期処理

 最初の2つの付録は初心者プログラマ向けだったが、この付録は初心者よりも少し上のレベルのプログラマ向けである。

 Pythonは、ほかの大半のプログラミング言語と同様に同期的である。上から下に向かって一度に1行ずつ線形にコードを実行していく。関数を呼び出すと、Pythonは関数のコードにジャンプし、呼び出し元は関数が制御を返すまで待機している。そして制御が返ってくると実行を再開する。

 CPUは、同時に1つのことしかできない。そのため、同期実行は理にかなっている。しかし、プログラムは、ファイルやネットワークサービスのデータなど、何かを待っていてコードを実行していないことがよくある。サイトがロードされるのを待ってブラウザの画面をじっと見つめているようなものだ。この「ビジー待ち」を避けられれば、プログラムの実行時間を短縮できるかもしれない。これはスループットの向上とも表現される。

 15章では、何らかの形で並行処理を実行したければ、スレッド、プロセスやgeventtwistedなどのサードパーティソリューションから方法を選べることを説明した。しかし、最近はPythonの組み込み機能にも、サードパーティソリューションにも、非同期処理が含まれたものが次々に追加されてきている。これらは通常の同期的なPythonコードと共存するが、ゴーストバスターズと同様に、越えてはならない一線がある。この付録では、エクトプラズマによる副作用を避ける方法を説明していく。

C.1 コルーチンとイベントループ

 Python 3.4でasyncioという非同期モジュールを追加した。その後、Python 3.5は、asyncawaitというキーワードを追加した。これらは次のような新しい概念を実現する。 ...

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