5章機械学習を用いたマーケットの動きの予測
スカイネットは幾何級数的な速さで学習を始め、東部時間8月29日午前2時14分に自己を認識します。
—The Terminator(Terminator 2)
近年、機械学習、深層学習、人工知能の分野は、目覚ましい進歩を遂げています。金融業界全般、特に世界中のアルゴリズムトレーダーも、こうした技術の進歩の恩恵を受けようとしています。
本章では、過去のリターンから将来の値動きを予測するために、線形回帰などの統計学の手法と、ロジスティック回帰などの機械学習の手法を紹介します。また、ニューラルネットワークを使って株式マーケットの動きを予測する方法も紹介します。もちろん、本章は機械学習の完全な入門書に取って代わるものではありませんが、実践的な観点から、価格予測問題に特定のテクニックを具体的に適用する方法を示します。詳しくは、[Hilpisch 2020]を参照してください†1。
[†1] [Guido and Müller 2016]や[VanderPlas 2016]の書籍は、Pythonを使った機械学習の、実践的で一般的な入門書となっています。
本章では、以下のタイプのトレード戦略について説明します。
- 線形回帰を用いた戦略
- 線形回帰を利用して、トレンドを推定したり、金融商品の将来の値動きの方向性を導き出す戦略です。
- 機械学習を用いた戦略
- アルゴリズムトレードでは、金融商品の動きの絶対的な大きさではなく、動きの方向を予測できれば十分です。このような理由から、実は予測問題は上向きか下向きかを判断する分類問題に帰着します。このような分類問題を解決するために、さまざまな機械学習アルゴリズムが開発されています。本章では、ベースラインとなる代表的なアルゴリズムとして、分類問題を解くためのロジスティック回帰を紹介します。 ...
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