ロバストPython ―クリーンで保守しやすいコードを書く

6章型チェッカのカスタマイズ

型チェッカは、ロバストなコードベースを構築する最良のツールの1つだ。mypyのリード開発者であるユッカ・レフトサロは型チェッカの定義を簡潔に述べた。「本質的に型チェッカとは検証済みドキュメントをもたらすものだ†1」。型アノテーションは、コードベースに関するドキュメントを提供し、他の開発者が作者の意図を推論できるようにする。型チェッカは、型アノテーションを使ってドキュメントが振る舞いと一致するかどうかを検証する。

[†1] Jukka Lehtosalo. “Our Journey to Type Checking 4 Million Lines of Python.” Dropbox.Tech (blog). Dropbox, September 5, 2019. https://dropbox.tech/application/our-journey-to-type-checking-4-million-lines-of-python

そのような存在として、型チェッカは貴重だ。子の曰わく、「工（こう）、其の事を善くせんと欲すれば、必らず先ず其の器（き）を利（と）くす」（職人が自分の仕事をうまくやろうとすれば、きっとまずその道具を研（と）ぐものだ）†2。この章は、型チェッカを利くすることに関するすべてを扱う。優れたコーディングテクニックは大幅な前進を可能にするが、次のレベルに進めるようにしてくれるのは周辺のツールだ。エディタ、インタプリタ、OSを学ぶだけに留まらず、型チェッカも学ばなければならない。この章では、ツールから最大限の力を引き出すために役立つオプションを示す。

[†2] Confucius and Arthur Waley. The Analects ...