14章時系列分析

時系列分析は、有価証券の計量ファイナンスや自動トレーディングの台頭により注目の話題となっています。本章で説明する多くの機能は、金融、証券取引、ポートフォリオ管理の実務者や研究者によって開発されました。

Rで時系列分析を始める前に、使用するデータ表現(オブジェクトクラス)の選択は非常に重要です。Rなどのオブジェクト指向言語では、データ表現の選択は特に大切です。なぜなら、この選択による影響はデータの格納方法にとどまらないからです。データの読み込み、処理、分析、出力、プロットに利用できる関数(メソッド)も決まるのです。Rを使い始めたばかりのときには、時系列データを単純にベクトルに格納することが多いでしょう。それが自然に思われるからです。しかし、まもなく単純なベクトルでは時系列解析の優れた分析論がいずれも使えないことに気が付きます。時系列分析用のオブジェクトクラスに切り替えると分析が容易で、重要な関数や分析論が使えるようになります。

本章の1番目のレシピ14.1では、時系列データの表現にzooパッケージやxtsパッケージを推奨しています。この2つは時系列データに一般的に使われるパッケージで、ほとんどのユーザのニーズを満たすはずです。それ以降のほとんどすべてのレシピでは、この2つのデータ表現のいずれかを使うことを前提としています。

[注記]

xtszooを拡張したものなので、zooで実行できる処理は、すべてxtsでも可能です。本章では、レシピがzooオブジェクトで機能すれば、(特に記述がない限り) ...

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