解説須藤 功平
読んでみていかがだっただろうか。プログラマにとってとても大切な「読みやすいコード」を書くということを「理解しやすく」伝えていたはずだ。
本書は元の英語も読みやすく書かれている。少し英語を読める人なら原書でも読めるだろう。そんな原書のいいところをしっかりと残して読みやすい日本語にしたのが訳者の角さんだ。角さんは本書以外にもソフトウェア関連の訳書が数冊あり、どれも読みやすい日本語になっている。角さんの訳の特徴は、読みやすい日本語と時折はさんでくる(わかる人にはわかるくらいのちょっと)有名な言葉だ。本書を読んでニヤリとした人もいたのではないだろうか。やわらかい言い回しでまじめな話をしながら時折ユーモアあふれる挿絵をはさむ本書の訳者として、角さんはまさにうってつけの存在だ。
読みやすい日本語だし、技術的に難しい内容でもないので、サクサク読めただろう。でも、難しくない内容だからといって軽視していいわけじゃない。本書に書いてあることはとても大切なことだ。あなたがこれからプログラマとして信頼してもらえるコードを書くかどうかは本書に書いてあることを身につけるかどうかにかかっていると言ってもいい。もし身につけていないなら、少なくとも私は信頼しない。
そんな本書の内容を身につけて、自然に読みやすいコードを書けるようになるための3つのステップを紹介しよう。
- 実際にやる
- 当たり前にする
- コードで伝える
まず、実際に読みやすいコードを書く。はじめはうまくいかないだろうが、本書を読み返しながら意識して読みやすいコードを書く。読みやすいコードが書けるようになってきたら、「読みやすいコードを書くことが当たり前」にする。読みにくいコードなんてありえない。そんな状況だ。そんな状況で読みにくいコードが入ってきたら、どうしたら読みやすくなるかを読みやすいコードで伝える。「読みやすいコードとはこう書くんだよ。」そういうことを読みやすいコードで伝えるんだ。ここまでくれば、自然に読みやすいコードを書けるようになっているだろう。 ...