5章アクション
前の章では、ROSのサービスを説明しました。サービスは、非同期型のROSのトピックでは対応しにくい、同期型のリクエスト/レスポンスのやり取りに便利です。しかし、サービスがいつも最適というわけではありません。特にリクエストが「Xの値の取得(もしくは設定)」といった単純な命令ではない場合です。
サービスは、状態の問い合わせや構成の管理といった単純なデータ取得や設定には便利ですが、長時間にわたるタスクにはうまく機能しません。例えば、ロボットを少し離れた場所に移動させるタスク(ここではgoto_position
と名付けます)を想像してみましょう。ロボットが移動を完了するには、相当な時間(数秒、数分、ときにはもっと長い時間)が必要でしょう。しかも、その時間を事前に正確に知ることは不可能です。途中に障害物があって想定していたより長い経路になるかもしれないからです。
もし、goto_position
のタスクにサービスを使うとしたら、呼び出し側でどのように使うことになるかを考えてみましょう。まず、ゴールの位置を入力したリクエストを送ります。その後は、何かが起こったことを通知するレスポンスを受け取るまで、ずっと待ち続けなくてはなりません。しかも、それはいつ送られてくるかすらわからないのです。レスポンスを待っている間、呼び出し側のプログラムは強制的にブロックさせられ、ゴールまでの進捗具合をまったく知ることもできず、ゴールの場所を変更したり、タスクを中断したりすることもできません。サービスのこれらの欠点を補うために、ROSではアクションを提供しています。
ROSのアクションは、goto_position
のように、時間のかかるゴール指向のタスクを実装するのに最も適した方法です。サービスは同期であるのに対して、アクションは非同期です。サービスにおけるリクエストとレスポンスと同じように、タスクの開始に ...
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