7章Wander-bot(ワンダーボット)

本書の最初のほうの章では、モジュール間の通信で使われるROSの抽象的な概念の多くを紹介してきました。トピック、サービス、アクションなどです。そして、前の章では、現代のロボットに一般的に搭載されているセンシングやアクチュエーションのサブシステムの多くを紹介しました。本章では、これらの概念を組み合わせることで、環境の中を動き回る能力を持つロボットを作ってみます。それはあっと驚くような能力には思えないかもしれませんが、実際には、この能力を持ったロボットは、多くの有意義な仕事ができるようになります。ロボットが環境の中を動き回ることで実現されるタスクはたくさんあります。例えば、掃除や床拭きのタスクは、清掃道具を持たせたロボットに環境の中をある程度ランダムに動き回るように賢く設計したアルゴリズムを搭載し、それをていねいに調整することによって実現されています。ロボットが環境の中を隅々までくまなく動き回ることで、最終的にそのタスクが完了するのです。

本章では、ROSで最小構成のロボット制御ソフトウェアを書くプロセスを順を追って説明していきます。実際にROSのパッケージを作ってシミュレーションでテストする部分についても説明します。

7.1 パッケージを作成する

まず、ワークスペースを作成します。ここでは~/wanderbot_wsとします。

user@hostname$ mkdir -p ~/wanderbot_ws/src 
user@hostname$ cd ~/wanderbot_ws/src 
user@hostname$ catkin_init_workspace 

これだけです! 次にこのワークスペースに新しいパッケージを作ります。これはコマンドを1つ実行するだけです。 ...

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