5章エラーバジェットの使い方
Alex Hidalgo
エラーバジェットは、信頼性スタックの最後の部分です。エラーバジェットを適切に使用するには、多くの努力とリソースが必要になります。チームや組織、会社などのすべてがいつもこの部分まで到達するわけではありません。これは、エラーバジェットについて考えることが、必ずしも困難であったり複雑であったりするからではなく、意思決定を促すためのデータとしてそれらを使用することが、多くの人々にとって業務の進め方を変えることになるからです。
ソフトウェアベースの業務環境では、多くの場合、信頼性確保のための作業も含めて、作業の進め方を調整し、指示するためのシステムがすでに導入されています。それらの環境では、アジャイル開発に従ってスプリントを実施したり、四半期ごとのOKRを設定したり、24時間365日体制のコントロールセンターで顧客の要求やチケットに対応する運用チームもあります。組織が業務の信頼性を維持しようとする方法は数多く存在します。
信頼性へのエラーバジェットによるアプローチを採用することは、簡単であるように思われますが、一部の人々にとっては衝撃的な変更になる可能性があり、すでに実施している手法やプロセスとは、多くの場合一致しません。この点はまったく問題ありません。思い出してもらいたいのは、本書の目的です。それは、ユーザーに関する新しい考え方、ユーザーの体験に関するデータの新しい収集方法、およびサービスの状態に関する議論の新しい実施方法を提示することです。本書の各ページで説明されていることのすべてに賛同する必要はありません。ユーザーに焦点を当てたSLIの計測を行い、それらを使用して業務の優先順位付けを行う方法を決定するのが最終目的です。SLOの目標値を設定すること、およびエラーバジェットを使用することは、この優先順位付けに関する議論が容易に実施できるようにするにすぎません。それらは、優先順位付けがどのようになるかをより明確にするための計算方法なのです。 ...
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