16章SLOの提唱

Daria Barteneva、Eva Parish

人はいつも、時が物事を変えてくれると言う。しかし、実際にはあなたが自分で物事を変えなければならない。

――Andy Warhol

これまでの各章では、SLOの採用時に組織から同意を獲得する方法、およびSLO文化を構築することの重要性について詳しく検討してきました。本書をここまで読んできた人は、自分の組織でなぜSLOが必要なのか、そしてSLOが自分のエンジニアリングプロセスとユーザーにいかに大きな影響を与えるかを理解したはずです。自分の組織全体にわたってSLOを普及させることが待ちきれないことでしょう!

しかし、ちょっと待ってください。その前に答える必要のある質問が3つあります。

  • 自分の組織内でSLOを実装することに関して組織の長からの同意を得ていますか? SLOの実装に既得の利害関係がある組織長の支持者(エグゼクティブスポンサー)がいると助けになります。そのような人たちなら、利害の対立が発生した場合にあなたをサポートし、窮状から救い出せます。
  • SLOの採用を促進するために必要とされる期待と時間的投資への同意をあなたの上司たちから得ていますか? SLOの提唱者になると、最初の数ヵ月は(あるいは所属しているのが大きな組織の場合は、それより長い期間にわたって)、その仕事にフルタイムで従事することになるでしょう。
  • 組織全体に影響力を持つ横断的な役割に就く覚悟ができていますか? このような役割には、上級幹部や利害関係者との間でのコミュニケーションから始まり、文書の作成、データの分析とレポート作成、監視機能の実装のレビュー、トレーニングの実施に至る複数の分野のスキルが要求されます。

上記の3つの質問のすべてに「はい」と答えられたら、おめでとうございます。SLOの提唱者になる準備は完了です。ところで、それは何を意味するのでしょうか? ...

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