SolidityとEthereumによる実践スマートコントラクト開発 ―Truffle Suiteを用いた開発の基礎からデプロイまで

3章スマートコントラクトを開発するための準備

　本章では、スマートコントラクト開発に必要なツールをすべてセットアップする。まず、イーサリアムクライアントをインストールする。イーサリアムクライアントはイーサリアムブロックチェーンとのやり取りに利用できるソフトウェアである。次に、Node.jsをインストールする。Node.jsはTruffle用のJavaScript環境となる。最後に、Truffle SuiteからTruffleとGanacheをインストールする。Truffleには、コントラクトのテストとデプロイのためのすばらしいユーティリティが揃っている。Ganacheは、アプリケーションをローカルで実行するためのローカルブロックチェーン環境を提供する。

　これらのツールをインストールしたところで、最初のスマートコントラクトを記述する準備が整う。前置きはこれくらいにして、さっそく始めることにしよう。

3.1　イーサリアムクライアント

　イーサリアムクライアントをいきなりインストールする前に、イーサリアムクライアントについて少し説明しておくべきだろう。イーサリアムクライアントは、すっかりおなじみとなったHTTPクライアントとどのように異なるのだろうか。

　従来のWebアプリケーションでは、サーバーが中央で管理され、URLまたはIPアドレスが割り当てられる。このソフトウェアの記述には、HTTPリクエストを送信できるプログラミング言語であれば、どれでも使うことができる。クライアントソフトウェアは、リクエストを作成してレスポンスを解析するためのロジックと抽象化をすべて含んでいるため、サーバーと簡単にやり取りできる。また、サービスの導入を後押しするために、クライアントをライブラリとしてリリースし、他のアプリケーションで利用できるようにすることも可能である。 ...