2章ミッションで目的を与える

テック企業はプロジェクトで仕事を進めない。ミッションで進める。この章ではその理由を学ぶ。ミッションの視点から仕事を定義できるようになると、チームに目的を与えられるようになり、チームが自分たちで答えを見つけることを推進できるようになる。だが、ミッションの効果はそれだけではない。これは、ミッションを果たすための遂行責任と説明責任を本来あるべきところ、つまりチームに渡すことでもあるのだ。

この章を最後まで読むことで主に次の3つを理解できる。ミッションとは何か。なぜプロダクト開発にはミッションの方が適切なのか。ミッションのどんな仕組みがテック企業を迅速に動けるようにしているのか。

2.1 プロジェクトの問題点

プロジェクトは、前もって計画を決めておく必要のある仕事には適した手法だ。しかし、何か新しいものを作るのにはあまり向いていない。その理由はいくつかあるが、何よりもまずプロジェクトは、期間があまりにも短い。

プロジェクトにはその定義により、始まりと終わりがある。だから、終わりがくれば、プロジェクトはそこまでだ。みんな荷物をまとめて家に帰る。そんなことではプロダクト開発はうまくいかない。プロダクト開発は最初のバージョンで終わりじゃない。それはまだ始まりにすぎない。プロダクト開発では、そこからプロジェクトが特に苦手としていること、つまりイテレーションを重ねることが続く。

プロダクト開発は極めて反復的なプロセスだ。あるバージョンを作る。リリースする。フィードバックを得る。このイテレーションを27回繰り返す。プロジェクトの進め方はそうなっていない。最初のバージョンをリリースする。勝利を宣言する。おしまい。プロジェクトはフィードバックを反映したり、学んだことを取り入れるためのものではないんだ。 ...

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