9章文化によって強くなる

テック企業において文化とは勝手に育つものとされていたが、そんな時代は終わった。文化は放任しておくにはあまりにも重要な役割を担っている。だからこそ、多くのテック企業では文化に直接投資している。文化によって望ましいことを推し進めつつ、望ましくないことを止めさせる。

この章では、どういった要素が企業文化を良いものにしているのかと、テック企業の文化を形成する「核となる信念」に注目する。また、従業員の採用でテック企業が重視していることや、リーダーやマネージャーに期待されていること、どんな振る舞いが求められているのかも解説する。

この章を最後まで読めば、なぜ文化がそんなにも重要で、テック企業は文化を勝手に育つに任せていないのか、その理由を理解できる。これはあなたが自分の職場で文化を定義し、築いていく際のヒントになるはずだ。

9.1 会社が違えば文化も違う

テック企業の文化は説明しづらい。確かに、テック企業一般に共通する働き方の特徴はある(フラットな階層や、権限が与えられた信頼のおける小さなチームなど)。けれども、テック企業それぞれの間でそのニュアンスには違いがある。

たとえばApple。Appleが世界で最も革新的で成功を収めているテック企業のひとつであることは間違いない。Appleは「アートとサイエンスの交差点」に堂々と立つ存在だ。けれども、Appleはシリコンバレーで最も秘密主義的な企業のひとつでもある。Appleでは「すべての情報は基本的にオープン」ではない。 ...

Get ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方 now with the O’Reilly learning platform.

O’Reilly members experience books, live events, courses curated by job role, and more from O’Reilly and nearly 200 top publishers.