はじめに

David N. Blank-Edelman(キュレーター/編集者)

さあ始まりです

会話(conversations)。これは本書(原書)のタイトル中で最も重要な言葉です。そのため、本書の最初と最後でこの言葉に言及するという芸のなさをどうぞお許しください。

これがなぜ、それほど重要なのでしょうか。それを解く鍵となるのが、『SREの探求』(原題“Seeking SRE”)という書名に含まれる「探求」(Seeking)の部分です。サイトリライアビリティエンジニアリング(Site Reliability Engineering=SRE)†1の分野で私が尊敬する人々は皆、この分野自体が今もなお進化、拡張、変革、新たな発見の真っ只中にあると考えています。ある意味では私たち全員がずっと、SREを探求し続けているのです。

[†1] 翻訳注:SREはSite Reliability Engineer=サイトリライアビリティエンジニアの略語としても使われることに注意してください。原書でSREsと複数形で使われている場合は、この人間の意味であり、本訳書でも文脈に応じて「SREたち」としています。ただ原書でも、この意味で単数形のSREをそのまま使っている箇所も数多くあります。こうした場合にも誤解なく理解していただける日本語訳を心掛けましたが、SREが分野と人間のどちらを意味するのかは常に意識してお読みいただければ幸いです。

私の経験では、SREのような分野は、その分野の人々(すなわち現実の実務担当者)が互いに話し合うことで最も望ましく成長していきます。人々が集うことで、話し合い、議論し、笑い合い、自らの経験(成功と失敗)と未解決の問題を共有するようにするのです。会話が織りなす、賢く、親切で、多様性に富み、インクルーシブで ...

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