2章素晴しいチーム文化を作る

チーム文化は驚くほど多様であり、さまざまな価値や優先順位を反映しているものである。チームの成功を推進するものもあれば、大きな失敗の原因になるものもある。チームを成功に導く文化であっても、ソフトウェアを書くためのものもあれば、注意を発散するためのものもある。本章では、文化について取り上げたい。なかでも成功につながるコミュニケーション技法について説明する。また、優れたエンジニアのチームがソフトウェアを効率的に書くために、これらの技術をうまく使用する方法についても触れる。

2.1 文化とは何か

文化という言葉を耳にすると、夜のオペラを思い浮かべるかもしれない。あるいは、高校の化学の時間に増殖させた細菌を思い出す人もいるだろう†1。エンジニアリングチームの文化とは、後者のようなものだ。

[†1] 訳注 文化を表す「culture」には「培養」という意味もある。

おいしいサワードウパンを食べたことがあるだろうか。作った人に話を聞いてみると、パンにとって大切なのは小麦と水を食料にするイースト菌と乳酸菌の「スターター」だそうだ。イースト菌はパンを発酵させるものであり、独特の酸味を作り出す。乳酸菌は、好ましい風味を作り出すものもあれば、そうではないものもある。したがって、パンを焼くときにはサワードウパンの風味となるスターター(イースト菌と乳酸菌の割合)にこだわるのだ。小麦と水を加えながら、菌の繁殖に気を配る。少量のスターターを使って、パンに菌を植えつける。すると、じゃじゃーん。おいしいサワードウパンのできあがり! スターターは風味を作り出すだけでなく、イースト菌や空気中にある雑菌に強いからこそ、こうしてうまくできあがるのだ。

図2-1 最初の文化(種菌)が重要 ...

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