初めてのTensorFlow.js ―JavaScriptで学ぶ機械学習

8章モデルの訓練

より軽い荷物を求めるのではなく、より強い背中を求めなさい。

—— ユダヤ人の格言

自由に利用できるすばらしいモデルやデータの数は増え続けて溢れんばかりですが、それでも既存のTensorFlow.jsモデルをただ利用するだけでなく、それ以上のことをしたいと考えてしまうのは当然でしょう。これまでに誰も見たことがないアイデアを思いついた場合には、そのままですぐに利用できるような選択肢はその時点では存在しないはずです。独自にモデルを訓練するのはそんなときです。

そうです、これは世界最高の知性たちが競っている任務です。ライブラリには訓練しているモデルが使用している数式や戦略、方法論の説明があるかもしれませんが、もっとも重要なのは核心を理解することです。フレームワークを活用するにはTensorFlow.jsでのモデルの訓練について、基本的なコンセプトと特性をよく理解しておかなければいけません。

本章の内容は以下のとおりです。

• JavaScriptのコードでモデルを初めて訓練します
• モデルアーキテクチャの理解を深めます
• 訓練中の状態を追跡し続ける方法を復習します
• 訓練の基礎的なコンセプトのいくつかを説明します

本章を終えると、機械学習ソリューションを作成するためにモデルを訓練する方法のいくつかと、データを利用するプロセスについて、さらに理解が深まっていることでしょう。

8.1　訓練

ついにこれまで隠されていた神秘のベールを剥ぎ取り、JavaScriptでモデルを訓練する時が来ました。Teachable Machineはすばらしいツールですが、その力には限界があります。機械学習の真の力を解放するには、対象の問題を認識してその解決のためのパターンを見つけられるようにマシンを教育する必要があります。それには、まずデータを通して問題領域を見ていく必要があります。 ...