第1章なぜストーリーテリングが重要なのか
執筆の経緯
良いストーリーには必ず始まりと中間があり、そして終わりがあります。私がこの本を書くことになった経緯も、これと同じ構造です。2013年、私はロンドンのカンファレンスに招かれ、デザインとストーリーテリングについての講演を行いました。父と私は、それぞれの仕事について何度も話をしてきましたが、その中で、父のように本を書くことと、私のようにデジタル製品や物理的な体験に取り組むことには多くの共通点があることに気づかされました。今回、ストーリーテリングの話をまとめるにあたり、父に電話し、本を書くときに重要な要素は何かと尋ねました。「良きことには3が伴う(Good things come in threes)」と言われますが、父は良いストーリーには3つの要素が必要だと言います。
まず第一に、良いストーリーはあなたの想像力をかき立てるものでなければならないと彼は言いました。子供の頃、お父さんが読んでくれた本が、私たちを知らない場所に連れて行ってくれたように、良いストーリーは魅力的で、頭の中に絵を描いて想像力をかき立てるものでなければならないのです。『アメリカン・ホラー・ストーリー』の共同制作者であるBrad Falchukは、「自分がその状況にいることを想像できれば、それは限りなく恐ろしさを増す」と述べています†1。観客に何かを見せることはあっても、残りは想像に委ねるのです。ホラーであれ、おとぎ話であれ、良いストーリーの力の1つは、私たちに「見える」ようにする魔法です。
[†1] Joe Berkowitz, “How To Tell Scary Stories,” Fast Company, October 31, 2013, https://oreil.ly/PY2Ng ...
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