第5章ドラマツルギーによる経験の定義と構造化

プロダクトライフサイクルを理解して定義する

2011年にフリーランスを始めたのと同時期、私とパートナーはアパートを全面改装し、ロフトを建設することに決めました。今思えば最悪のタイミングでしたが、多くのことを学びました。私たちはどちらもリノベーションの経験がなく、どのような決断をしなければならないのか、まったく想像がつきませんでした。といってもすぐにできるようにはなりましたが。

私たちのために仕事をしていた会社は、あれやこれやとあらゆることについて決断を下すように私たちに求め続けました。ほぼ毎日のように「明日の朝までに必要です」という言葉が付いて回りました。質問のほとんどは、コンセントやライトのスイッチの配置といった、私たちが今まで考えたことがなかったことについてでした。質問の中には私たちが知らなかったことに関するものもあり、何を考慮して決断すればいいのかわからないこともよくありました。インターネット調査は痛みを伴うプロセスであり、さらにどのウェブサイトも私たちのニーズやジャーニーの段階に対応していなかったため、より痛みを伴いました。

「さて、どんな種類のお風呂(または他のリノベーション関連のアイテム)にしようかな」と考えたときのことです。Googleで「お風呂の種類」を検索すると、検索結果の99%は「知る必要があること」の情報がまったく含まれていないランディングページに連れて行かれます。それどころか、それらは私たちに何らかの情報を提供する前に、お風呂のタイプを選択するよう求めました。そんなことどうして私たちが知り得るのでしょうか? この時点のジャーニーでは、私たちはお風呂の種類がたくさんあることすら知らず、何がどう違うのか、本当に良いものと避けるべきものは何なのかもわかりませんでした。これはまさに、私たちデザイナーが避けるべきサイロ化した体験の典型でした。全ての選択肢を見ることができないまま、ユーザーをニッチなセクションに押し込めば、1つのページで全てを把握することができないため、何度も行ったり来たりすることになります。さらに、ユーザーにとって、様々なプロダクトの比較や関連性を評価することが非常に難しくなります。 ...

Get プロダクトデザインのためのストーリーテリング ―「物語」で魅了するユーザーエクスペリエンスを生み出す now with the O’Reilly learning platform.

O’Reilly members experience books, live events, courses curated by job role, and more from O’Reilly and nearly 200 top publishers.