12章
イベントストーミング
この章では、ソフトウェアの設計方法や実装技術からいったん離れ、イベントストーミングと呼ばれる、ローテクなモデリング手法に焦点を合わせます。この手法には、これまで学んできた、ドメイン駆動設計の考え方とやり方の核心が凝縮されています。
この章で学ぶのは、イベントストーミングの全体の流れ、ワークショップのファシリテーション方法、そしてイベントストーミングを活用した業務知識の効果的な共有と同じ言葉の構築方法です。
12.1 イベントストーミングとは何か
イベントストーミングとは、業務プロセスのモデルを迅速に作ることを目的に、関係者が集まって、ブレインストーミングスタイルで進めるローテクな手法です。ある意味で、イベントストーミングは、業務知識を共有するための戦術的なツールと言えるでしょう。
イベントストーミングをやる時は、最初に、モデルの対象とする範囲、つまり探求する業務プロセスを決めます。参加者は、付箋を使って、業務の進行過程で発生する一連の業務イベントを時系列に並べながら、対象としている業務プロセスを探求します。そして、アクター、コマンド、外部システムなどの要素を少しずつ追加しながらモデルを拡張します。業務プロセスの仕組みを説明できるところまで要素がそろったら、イベントストーミングは終了です。
12.2 誰がイベントストーミングに参加するべきか
ワークショップのゴールは、できるだけ短い時間でできるだけ多くのことを学ぶことだと心得てください。ワークショップにはキーパーソンを招きますので、彼らの貴重な時間を無駄にしないようにしたいものです。
──アルベルト・ブランドリーニ、イベントストーミングワークショップの生みの親
ワークショップにはさまざまな立場の関係者が参加することが理想的です。エンジニア、業務エキスパート、プロダクトオーナー、テスター、UI/UXデザイナー、サポート担当者など、対象となっている業務領域の関係者であれば、誰でも参加可能です。さまざまな背景の人が参加することで、多くの知見が得られます。 ...
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