イントロダクション

5年後、あなたはどうなっていたいですか? 面接で聞かれるこのお決まりの質問は、子どもへの「大人になったら何になりたいか」という質問の大人版に相当します。子どもに対する質問には、社会的に求められている答えとコミットする必要がないほど十分に長い時間が存在します†1。ですが、キャリアアップし続けたいと考えているシニアソフトウェアエンジニアにとって、この質問はとても深刻なものとなります†2一体あなたはどうなっていたいですか?

[†1] とはいえ、子どもの面接においても「宇宙飛行士もしている動物園の飼育員」という答えはさすがに想定されていません。人生はとても限られていますからね。

[†2] 文章を簡潔にするため、本書では一貫して「ソフトウェアエンジニア」と記述します。ですが、システムエンジニアやデータサイエンティストをはじめとするテクノロジストも、本書の内容に関連を見いだせるはずです。本書はすべての方を読者として歓迎しています。

2つの道

あなたは今、分岐点に立っているかもしれません(図1)。目の前には2つの異なる道が伸びています。片方は、直属の部下を持つマネージャーになる道です。もう片方は、部下を持たない技術リーダーになる道です。後者は、スタッフエンジニアと呼ばれます。もし両方の道を5年先まで本当に見通せたなら、多くの共通点があることがわかるはずです。どちらの道も多くの同じ場所に通じており、先に進むほど、多くの同じスキルが必要になっていきます。ですが、スタート時点では、両者は全く異なって見えます。

図1 分岐点

マネージャーの道ははっきりしており、よく舗装されています。コミュニケーションがうまく、危機的状況でも冷静でいられ、より良い仕事ができるように同僚を手助けできる人にとって、マネージャーになることは、おそらく標準的なキャリアステップです。この道を選んだ人を、あなたは知っているはずです。マネージャーの上司がいたことがあるでしょうし、彼らの行いの正否について意見を持っているかもしれません。マネジメントはよく研究されている分野でもあります。 ...

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