9章HTTPの歴史

HTTP(Hypertext Transfer Protocol)はインターネットにおいて一番広く利用されているプロトコルの1つです。クライアントとサーバの間の共通言語であり、モダンWebを実現しています。単一のキーワードとドキュメントパスだけ、という単純なプロトコルとして始まり、現在ではブラウザにとどまらずインターネットに接続されたすべてのソフトウェアとハードウェアのアプリケーションにおいて一般的に選択されるプロトコルになりました。

本章では、HTTPプロトコルの進化の歴史を簡単にたどってみます。HTTPの様々な細かい仕様は本書の対象外ですが、HTTPの各バージョンの主要な設計変更やそれらの背景の理解が、HTTPにおける数多くのパフォーマンス改善の議論を行うために必要な基礎知識になります。HTTP 2.0で登場することになる様々な改善においても重要です。

9.1 HTTP 0.9:ワンラインプロトコル

Tim Berners-Leeによる最初のHTTPの提案は、彼が生み出そうとしていたもう一つのアイデアであるWorld Wide Webという考え方の浸透を助けるため、シンプルさを念頭に置いて設計されました。この設計は戦略的に成功したように見えます。プロトコルの設計者はぜひノートのご準備を。

1991年、Berners-Leeは新しいプロトコル策定につながった動機の概略を記し、ハイレベルのデザインゴールをリストアップしました。このリストにはファイル転送機能、ハイパーテキストアーカイブのインデックス検索に対するリクエスト機能、フォーマットネゴシーエーション、そしてクライアントに他のサーバを参照させる機能が含まれていました。この理論を実際に動作させるため、提案された機能の小さなサブセットを持ったシンプルなプロトタイプが構築されました。 ...

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