10章コンウェイの法則とシステム設計
ここまで本書の大部分では、粒度の細かいアーキテクチャへ移行する際の技術的課題を重点的に取り上げてきました。しかし、他にも検討すべき組織的問題があります。本章で学ぶように、あなたは危険を覚悟で会社の組織図を無視しています。
この業界は若く、常に自己改革しているように見えます。そして、少数の重要な法則が時の試練に耐えています。例えば、集積回路のトランジスタ密度が2年ごとに2倍になるというムーアの法則は、不思議なほど正確であることが証明されています(しかし、この傾向は既に減速していると予測する人もいます)。ある1つの法則はほぼ例外なく私にとって真実であり、毎日の仕事に極めて有益です。それはコンウェイの法則です。
1968年4月に雑誌Datamationで発表されたMelvin Conway(メルヴィン・コンウェイ)の論文「How Do Committees Invent?」では、以下のように述べられています†1。
[†1] 監訳者注:この論文の全文は、http://www.melconway.com/Home/Committees_Paper.htmlを参照。
システム(ここでは単なる情報システムよりも広く定義されたシステム)を設計するあらゆる組織は、必ずその組織のコミュニケーション構造に倣った構造を持つ設計を生み出す。
この記述は、「コンウェイの法則」としてさまざまな形で引用されています。Eric S. Raymondは、『The New Hacker's Dictionary』(MIT Press、日本語版『ハッカーズ大事典』アスキー)でこの現象を要約し、「コンパイラの開発を担当する4つのグループがあれば、4パスコンパイラが得られる」と述べています。 ...
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