第3章安定性と信頼性

本番対応のマイクロサービスは安定性と信頼性を備えています。個別のマイクロサービスもマイクロサービスエコシステム全体も絶えず変化、発展しており、マイクロサービスの安定性と信頼性を向上させる努力をすれば、エコシステム全体の健全性と可用性を高める上で大きな効果が得られます。この章では、開発プロセスの標準化、包括的なデプロイパイプラインの構築、依存システムの理解と依存システムの障害からの保護、安定性、信頼性を備えたルーティングと検出の構築、古くなり廃れたマイクロサービスとそのエンドポイントの非推奨、廃止の手続きの確立など、安定性、信頼性を備えたマイクロサービスを構築、運用するためのさまざまな方法を考えていきます。

3.1 安定性と信頼性を備えたマイクロサービスを構築するための原則

マイクロサービスアーキテクチャは、ペースの速い開発に適しています。マイクロサービスは開発者に自由を与えるため、エコシステムは継続的に変化していく状態、決して止まらずいつも進化していく状態になります。毎日新機能が追加され、日に何度も新しいビルドがデプロイされ、驚くようなペースで古いテクノロジーが新しいよりよいテクノロジーに置き換えられていきます。この自由と柔軟性によって、形のある本物のイノベーションが促進されますが、大きな代償もあります。

マイクロサービスエコシステムの部品の中に安定性、信頼性を失ったものが現れた途端、イノベーション、開発者のベロシティと生産性の向上、ペースの速い技術的発展、変化し続けるマイクロサービスエコシステムといったものは、すべて急停止します。ビジネスクリティカルなマイクロサービスの1つにバグ、その他の問題が紛れ込み、それをデプロイしてしまっただけで、会社自体が潰れてしまう場合さえあります。 ...

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