第4章スケーラビリティとパフォーマンス
本番対応のマイクロサービスは、スケーラブルでパフォーマンスに優れます。スケーラブルでパフォーマンスが高いマイクロサービスとは、同時に大量のタスクやリクエストを処理できるだけでなく、それらを効率よく処理でき、将来のタスクやリクエストの増加に対する備えがあるマイクロサービスです。この章では、質的、量的な成長の判断基準、ハードウェアの処理効率、リソースの要件やボトルネックの明確化、キャパシティの把握と計画、トラフィックのスケーラブルな処理、依存関係のスケーリング、タスクの処理、スケーラブルなデータストレージなど、マイクロサービスのスケーラビリティとパフォーマンスを確保するために必要不可欠な要素を取り上げます。
4.1 スケーラビリティとパフォーマンスを備えたマイクロサービスを構築するための原則
現実世界の大規模分散システムアーキテクチャでもっとも重要なのは処理効率であり、マイクロサービスエコシステムもその例外ではありません。単一のシステム(たとえばモノリシックなアプリケーション)の効率を定量化するのは簡単ですが、タスクが(数千とまではいかないまでも)数百の小さいサービスの間でシャーディングされるマイクロサービスの大規模なエコシステムで、処理効率を評価し向上させていくのはとてつもなく困難です。また、システムが分散化され、システムに含まれるマイクロサービスが多ければ多いほど、1つのマイクロサービスの処理効率がシステム全体の処理効率に与える影響は小さくなるというコンピュータアーキテクチャと分散システムの法則があり、大規模分散システムの処理効率はこの法則に支配されています。そのため、システム全体の処理効率を向上させるための原則を標準化することが必要になります。本番対応の標準に含まれる ...
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