3章Unixシェル再入門

 バイオインフォマティクスでは、基本的なコンピューティング環境としてUnixシェルを使用する。Unixシェルは、大規模なバイオインフォマティクスプログラムのインターフェイスとして、データと中間結果を検査するインタラクティブなコンソールとして、またパイプラインとワークフローのインフラストラクチャとして機能する。本章では、以降の章で扱うUnixシェルの概念および操作について解説する。先にシェル構文について習熟しておくことで、以降の章でコマンドの内容に集中できるようになるだろう。

 本書は読者がUnixに関する基本的な知識および操作についてある程度知っていることを前提としている。たとえば、ターミナルとは何か、シェルとは何か、Unixのファイルシステム階層、ディレクトリの移動、ファイルのパーミッション、コマンドの実行、テキストエディタの操作などだ。これらについて馴染みがない場合は、Unixの入門書などで勉強するとよいだろう(いくつかのリソースについては、はじめにの「本書を読むための前提知識」を参照)。本章ではバイオインフォマティクスでシェルを使用する際に役立つ、相互に深く関係する機能について説明する。具体的には、ストリーム、リダイレクション、パイプ、実行中のプログラムの操作、コマンド置換といったものだ。これらの機能を使いこなしていけば、シェルを使用してデータを操作し(7章)、パイプラインとワークフローを構築する準備ができるようになる(12章)。このほかに、現代のバイオインフォマティクスにおいて、なぜUnixシェルが重要なのかについても説明する。すでにシェル操作に慣れている読者の方であれば、次節を読んだ後、4章に進んでもらってかまわない。

3.1 なぜバイオインフォマティクスでUnixを使うのか?: ...

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