5章ビジネスを監視する

2章を思い出して下さい。そこで、ユーザの視点から監視するという重要な監視のデザインパターンを学びました。多くの人が最初に考えてしまいがちなインフラの深い部分ではなく、外側から監視の仕組みを考え始めるのはよいことです。それは実際に受けることの多い質問(「サービスは動いてる?」「ユーザへの影響はある?」)の答えをすぐに思いついたり、徐々に深掘りしていく準備ができるからです。

事業責任者から受ける質問は、ソフトウェアエンジニアやインフラエンジニアから受ける質問とは違うこともよくあります。また、そういった分野はエンジニアがスキルを身につけ、理解すべきところでもあります。経営層がするような質問ができるようになれば、非常に重要で大きくレバレッジが効いた、ビジネスに直結する問題に取り組めるようになります。

この章では、これらの質問を精査し、基本的なビジネスKPIを調べながらエンジニアとしての専門知識を使ってこれらの質問に答える方法を学んでいきます。この章の最後には、経営層の関心事に深い認識を持ち、彼らが楽に仕事できるようにすることで、監視がビジネスに提供する価値を明示できるようになるはずです。

5.1 ビジネスKPI

KPI(key performance indicator)は、全体としてビジネスがよい状態であるために会社が重要だと認識している計画を、どのように実行しているかを測るためのメトリクスです。アプリケーションやインフラに対するパフォーマンス指標のように、KPIはビジネスの調子がどうかを教えてくれます。パフォーマンスメトリクスのように、何を示しているのかあいまいなメトリクスもあり、それらを決断材料として使うにはある程度の判断が必要です。

経営者や創業者の視点からの関心は、以下のように簡単に分けることができます。 ...

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