第7章
環境を構築する
わたしの妻が持っているFitbit One。この小さな活動量計は服の上に留めておくと、スクリーンに運動の進捗を表示し、PCやスマホに詳細情報を送信してくれる。
Fitbit Oneには運動を最適な方法で促す機能がたくさんある。とても面倒で、運動が億劫になってしまう2つのこと、つまり、どれくらい運動したのか記録することと、その情報をPCやスマホへ送信することを自動化してくれる。これが「行動の構造化」だ。面倒な作業をユーザーからプロダクトへ移している(いわゆる「チート」をしてくれている)。
あるいは、行動自体を変えるだけでなく、「運動する」という行動をとるように促してくれたりする。例えば、
●運動するようにリマインドする。ランダムに「おしゃべりな」メッセージを表示する。初めて「わたしを歩かせて(Walk Me)」という表示を見たときのことを思い出すとニヤッとしてしまう。
●すぐに有意義なフィードバックを返す。わたしの妻が活動量計を入手して間もなくのことだ。彼女は「9,945歩」と表示された画面を見るやいなや、10,000歩の目標を達成しようと部屋中を走り始めたのだ。
このような戦術によって、ユーザーが意思決定しやすい環境を構築できる。これが、本章のトピックだ。
使える戦術
これまでのところで、ターゲットアクションを完了する上でユーザーが実行すべきアクションシークエンスは明確になっているだろう。あなたはMVA(必要最低限のアクション)を見つけ、その一部を自動化し、プロセスを短くし、負担を軽減し、ユーザーにとって馴染みやすいものにしてきた。
ここでは、アクション自体をもう変えることができない、と仮定しよう。その成功のためには、ユーザーは、X、Y、Zをする必要がある。ユーザーがアクションを実行しやすくするために、何ができるのだろう。1つは、行動を促す環境を構築することだ。ここでいう「環境」には、次の2つの意味がある。 ...
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